薄明の月5日
変わり者だが若くて美しい女が闇の魔法に手を染めたとして石を投げられ、町から追放されたという話を聞いた。彼女はリーチへ逃げ込むと二度と出てこなかったらしく、邪悪な彼女の魔法は日々強くなっているという。その後、半分女で半分鳥という姿の魔女が山奥で目撃され、目撃回数が増えるとともに若い娘たちが姿を消し始めた。
私はそんな話を聞いてリーチに来た。ハグレイヴンと呼ばれる魔女が住みついているという場所だ。私は剣と盾を用意し、その化け物を倒さなければならない。
薄明の月24日
普通の人間なら、目の前の凄惨な光景に胃がひっくり返るだろう--最初に見えたのは、もじゃもじゃとからまる髪の毛と骨、人の頭蓋骨、槍に刺して積み重ねられた死んだ山羊の頭、不潔な動物の皮、ぶちまけられた内臓、血で固まった羽根。フォースウォーンがハグレイヴンを崇め守っていると聞いたことあるが(原文ママ)、周りにはその魔女たちの小さく粗雑な宝石や、祭壇にはくすんだ空っぽの魂石があった。これほど死に満ちた場所に、いったいどんな下劣な生物が住むというのだろう?
巣穴の奥へ進むと、最初に--不規則なすり足と息遣いが聞こえ、次いで忘れることのできない悪臭がただよった。たいまつを前につき出し、眼前の地下道の暗闇に目が慣れるのを待った。見えた影は奇妙な歩き方のきゃしゃな女性だったが、たいまつの先は別の何かを照らし出していた。このハグレイヴンは恐れおののいており、人間というよりは女性と生物の醜態を融合したようで、闇の魔法と引き換えに人間性を捨てた抜けがら以外の何者でもなかった。魔法の力は彼女を堕落させ、ゆがんだ体の上にある老婆のような顔からは、ガラスのような目が鋭く光り、いびつな人体は黒い羽根で包まれていた。それは叫び声をあげると同時に逆立ち、そのかぎ爪のある手に鮮やかな赤い光が集まり始めたので、私は最も不純な魔法を防ぐために盾を持ちあげることしかできなかった。私は激しく戦ったが、このかつて女性であった化け物は私から生命力を奪い、また私の弱点を突いてくるようだった。
多くの者は崩れ落ちたのだろうが、私は屈しない。ハグレイヴンはその運命に相応しい最も不快な生物であり、その爪はエルバンの勝利を物語る戦利品だ。私はまだ震えるほど恐ろしいものを見ていないから、旅と冒険を続けるほかない。