もしあと1回でもあのレシピ本を書いたあの美食家の話を耳にしたら、切れ味の悪い斧で自分の耳を切り落としてやる。
確かに彼は重苦しい帝国の連中や女々しいブレトンの奴らの舌に合った料理を作ることはできるだろうが、本物のノルドは本物のノルド料理を欲しているんだ。そしてピッタリなのは私のシャウラスのパイである。
こんなに文句タラタラなのはスザンナが怒鳴ってくるからだと思う。ニルズ、そんなにあなたの作るシャウラスのパイがおいしいならレシピを書き起こしたらどうなのと彼女は言うんだ。
まあ、字はきれいじゃないし、文章を書く才能もないが、試しにやってみても悪くないんじゃないか?…と思った。そんな訳で以下が私の人生で初めて書き起こしたレシピだが、気に入ってもらえたら嬉しい。
最初に必要となる物はシャラウスの肉だが、これを手に入れるのは容易ではない。シャラウスは洞くつの中に大抵住んでいて、たぶん他の汚らわしい連中と洞くつを共有するのは好まない。
もし夕飯を作るためにシャラウスの肉を捕りに行く場合は、間違っても自分が相手の夕飯となってしまわないように気を付けろ。ハッハッハ。
とにかく、私が言おうとしたのは上等な鎧、大きく切れ味の良い剣、そして問題の兆候を感じるや否や真っ先に逃げることのない勇敢な男--別の言い方をするとなよなよしたブレトンみたいな連中でない奴--を見繕ってから洞くつを探しに行けば、遅かれ早かれシャウラスを見つけられるだろう。
見た目は大きな虫を大型犬くらいのサイズにした感じだ。奴らが吐き出す酸には気をつけた方がいい。鎧がすぐにダメになってしまうからな。
シャラウスの肉を手に入れたら、それを串に刺す。この時、必ず真ん中部分の白く分厚い部分を使うこと。足や足の黄色い肉は毒性の酸が含まれていて、食べるとかなりの確率で死んでしまうため使用しないように。
という訳でシャラウスの肉を串に刺して調理しよう。それからソースを塗る。ソースを作るには、何個かトマトをすり潰して液状にしてからそれを水、コショウ、ハチミツ、塩と混ぜる。そして全部一緒に煮る。
コショウはそれほど使わないが、塩は何杯か入れた方が良いだろう。ハチミツをどれだけ使うかはあなた次第だ。どれだけ甘くしたいかによって変わる。
シャラウスの準備ができて十分にソースをかけたら、ジャガイモ、ニンジン、リンゴと一緒にパイ生地に包んで焼く。それから、残っているソースもその中に全部入れてしまおう。
カブを入れてみたいと思ったら、それも良い時がある。それはあなたのその日の気分次第だろう。
そしてそれをしばらく焼く。上の部分が薄茶色になってきたら、出来上がった証拠だ。
これでできあがりだ。パイを食べるのと同じくらい簡単だろ。ハッハッハ。
※文中の「シャウラス」が「シャラウス」 となっている部分はすべて原文通り。
2013.12.26
文中に「原文ママ」と加えていた所をまとめて注釈としました。
※文中の「シャウラス」が「シャラウス」 となっている部分はすべて原文通り。
2013.12.26
文中に「原文ママ」と加えていた所をまとめて注釈としました。