石の街:
傭兵によるマルカルスガイド


傭兵
アマンダ・アレイア 著




 もしスカイリムでコイン作りをしているなら、リーチの首都、マルカルスへ向かってみてはどうだろうか。この石の街からトラブルがなくなることはない。つまり、夕飯にありつく方法が十二分にあるということだ。傭兵の本能としては1番金持ちで裕福な顧客の所へ仕事をもらいに行きたくなるだろうが、休息をとる間も用心しなければならない。

 マルカルスは、同胞団のような傭兵隊のおかげで傭兵が名誉な職だと考えられているホワイトランとは違う。いや、マルカルスには地元の人間でもタダでは教えてくれない、マルカルスのやり方があるのだ。あなたは幸運だ、このアレイアおばあさんが教えてあげるんだから。

 石の街に入ると最初に目に付くのは… 石。この街はドワーフが山から削り出したと言われているが、ここの様子を見てそう思ったのかもしれない。だが、つまるところ辺り一帯は切り立っていて、道路は本当に崖っぷちだ。要するに、ハチミツ酒を腹いっぱい飲んだら気をつけなけれないけない。

 正規の方法で街に入ったら、すぐに市場へ出る。通常ここでは路上で商人達が食料や宝石を売っている。ゴツゴツした岩のせいで農作には向かない痩せた土地であるから、ここでは肉が好まれる。街の大きな銀山のおかげで、そこらで買えるような指輪やネックレスに使う銀はここから採掘される。

 何をするにせよ、マルカルス市警隊には何も聞かない方がいい。彼らはフロストバイト・スパイダーの巣にかかった時に現れる不機嫌なフロストバイト・スパイダーほどの役立たずで、フォースウォーンについて何か言おうものなら目に唾を吐きかけられる可能性がある。フォースウォーンと言えば、マルカルスにいる間は彼らが主な収入源となる。大概、首長はフォースウォーンのリーダーたちに賞金を掛けていて、ビール一杯のために2ゴールド足りない相手と斧対剣の戦いをすることに抵抗がなければ、安定した仕事だ。

 宿屋「シルバーブラッド」は、市場を見て回った後に行きたい場所だ。飲み物は他と同じく水で薄められている(金属っぽい味がすることから街の溶鉱炉あたりを流れる川の水だと思われる)。ここで重要なのは泊まれる部屋を確保する事だ。旅人をたまして安い料金で泊めてくれるような宿は、マルカルスにはない。ここの住民は知らない人間を信用しておらず、面倒を避けて部屋を借りたいなら、大人しく金を支払った方がいい。

 一晩休んで旅の疲れから回復したら、マルカルスが険しい岩山を中心にして2つに分かれていることに気がつくだろう。大きな川が流れている方はリバーサイドと呼ばれ、その反対側はドライサイドと呼ばれている。リバーサイドは溶鉱炉があり、地元民が住んでいる場所のため、行ってみようなどと思わない方がいい。それよりもドライサイドに直行して地元のノルド貴族に話しかけ、何か自分に解決できそうな問題はないかと(むろん高い値段で)たずねてみることだ。

 主要な観光スポットはディベラ聖堂とシドナ鉱山の2ヶ所だろう。聖堂は街の中心にある岩山の上に建てられている。神々と良好な関係にあるなら訪れるには良い場所だが、ディベラ聖堂の女性司祭は最奥聖域に男が入る事を許さない。命を落としたくなければ、許可もなく強引に入ろうとしないように。

 先ほども述べたけれども、シドナ鉱山では銀が採掘される。しかし鉱山は監獄でもあるのだ。マルカルスでは埋蔵されている鉱石を掘り出すのに、たくさんの囚人を使っているのだ。街中で違法な事をして捕まると、ここに引きずり込まれて採掘をやるはめになる。どうやらこの場所はすべて街の有力な一族、シルバーブラッド(宿屋にもこの名前がつけられていた事に気付いただろうか? 傭兵たるもの、こういった点には常に目を光らせておくべきだろう)が所有しているらしい。シルバーブラッド一族の長に会って何か仕事がないか聞こうかと思ったが、連中の鉱山の用心棒になるために傭兵をやっている訳じゃない。だが数ヶ月滞在するなら、頭の隅に置いておくといいだろう。

 最後に説明する場所はマルカルスの首長の家、アンダーストーン砦だ。よくあるしゃれた場所だが(地下に建てられた宮殿を想像するといい)、ここで知っておくべきは砦の地下にある街のことだ。そう、マルカルスの下にはさらにもう1つ街がある。古いドワーフの遺蹟のつがあるのだ。ときおり遺跡の探索が行われて、学者たちの護衛をしたり、石ころをいくつかあっちにやったりこっちにやったりという、なかなかの仕事が発生する。運が良ければ古代ドワーフの機械も見つけて、分解してから持って帰れるかも知れない。

 さてと、アレイアおばあさんの手が疲れてきたので、そろそろこのガイドもおしまいだ。これが最後のアドバイス。マルカルスではトラブルを起こさないように。ケンカを始めないように。ケンカを止めないように。誰かから金をもらって頼まれでもしないかぎり、あちこちに首を突っ込まないこと。信じてもらいたいが、あなたの存在を好ましく思う者はマルカルスにはいない。ゴールドを稼いで、ハチミツ酒を飲んで、見るところを見たら、よそへ行くこと。石の街は何も変わらない… そういう所なのである。