夢の中でイスグラモルを先頭に導き手が列をなしているのが見える。我々を初めて野獣へと変えたテラフィグのところに行くまでに、それぞれがソブンガルデに向かって登って行く。テラフィグはソブンガルデに入ろうとするが、ツンに近づく前に巨大なオオカミに攻撃されてしまう。そしてオオカミはそのまま、ハーシーンが笑いながら歓迎するハンティング・グラウンドに彼を引き込んでいく。

テラフィグは残念そうだが、同時に野獣としての人生終えた後ハーシーンに加わりたがっているようでもある。

それから、導き手が皆次々と自発的にソブンガルデから離れてハンティング・グラウンドに入る様子が見える。私の番がやってくると、巨大なツンが霞の立ちこめたところで私に合図しているのが見える。私には選択肢があるようだ。それから、そばには今まで見たことのない人がいる。その目を覗き込んでから、振り返るとテラフィグを引きずって行ったのと同じオオカミを見つけ、その人と私は同時に武器を抜く。

これは夢にすぎないが、私のような男が執筆する気になるほど強烈な夢だ。きっと何か重大なことに違いない。



スコールに彼の忠告はもはや必要ないのではないかと心配させないように、見知らぬ人のことは秘密にし、それ以外の考えをサークルに話した。心が引き裂かれた様子の彼らを見て驚きはしなかった。野獣という観点から見るとスコールとアエラは強く、もし本当に選択できるなら、ハンティング・グラウンドは彼らが晩年を過ごす場所としての選択肢になりうると示唆しているようだった。

ヴィルカスが最も問題を抱えているようだった。この少年は、戦いではサーベルキャットのようにどう猛だが、時に情熱的すぎるのだ。彼が欺かれたと感じていても仕方がないように思う。ファルカスはどうすればいいか分からないようだが、最終的には私と彼の兄弟の意見に妥協してくれると思う。いつもそうだ。

スコールとアエラについてどうするべきか分からない。彼らが同胞団と私を尊敬しているのは分かるが、彼らは他の者より、さらに血を大事にしている。



運は我々の味方だ。昨日ヴィルカスは変身をしないようにするのがどれほど難しかったか私に話していた。真の解決策に達するまで、この双子と私は猛獣の血に屈せずにきた。私に至っては頭がより冴えたように感じたのだが、ヴィルカスはわずかに苦しんでいるようだ。ファルカスはまったく問題ないようだ。この少年の不屈の精神には感心させられっぱなしである。

ジョルバスクルの存在によってヴィルカスが信用していた間、新しく我々の仲間に加わりたがっている者が接近していることに気が付いた。その者は夢に出てきた、私と一緒に野獣に立ち向かう見知らぬ人だった。ヴィルカスは遠回しに訪問者の前で我々の問題をさらけ出したくないと言い始めた。そして、私は新参者に我々の秘密を明かさないよう、今まで以上に用心しなくてはならなかった。また、ヴィルカスにも私の夢の詳しいことを明かさないようにしなければならなかった。政治家たちがどうやって日々、陰謀を企てているのか不思議だ。

ともかく、新参者を試験するためにヴィルカスを送った。これで新参者が私の夢見る真の兵士かどうかがわかる。



この新参者は礼儀正しい種族のようだ。彼女は彼女自身を(ドヴァキン)と呼び、すでにサークルの何人かはその勇気に感激した。今のところ新参者が夢に出てきたことはまだ自分の胸だけに留めている。その者がどのような種類の運命を切り開き、その後の自分自身につなげるか見させてもらおう。

その間、私は血を清める方法を探す。関連書物や伝説は、わずかしかなく矛盾している。ここの問題を魔法で何とかしたいとは思わないが、残念ながらこのような知識を必要とする世界をどう進んだら良いかを知っている唯一のものかもしれない。

我々を変身させようなどというテラフィグの選択がまったくの誤りだったのは今や明らかである。魔法などの類は同胞団の精神に一致するものではない。そのような卑劣な手段がなくとも、我々は自分たちの問題に真正面から取り組める。私にできるのは自分が腐ってしまう前に、我々がイスグラモルの真の道に戻れるよう願うことだけだ。



(ドヴァキン)は引き続き感銘を与える。自分の血の問題に対してどう思っているのかは分からないが、まだ尋ねてみたことはない。(ドヴァキン)は我々に野獣の血が流れていることを知っていて、それが不思議なようだ。近いうちに我々の問題を説明できるだろう。そして願わくば(ドヴァキン)がどんな役割を果たすかが見たい。



この大勢の飲んだくれの中でアエラが秘密を守れると思っているのに驚いた。特にスコールの死(心が痛む)で、心はボロボロで分別なんて真っ先に崩れ落ちたに違いないだろうに。

明らかに彼女と(ドヴァキン)は、スコールの死の報復としてシルバーハンドに対し、それぞれ別の戦いを遂行している。彼女たちは気高いが報復は過熱していて、怒りを制御しなければ反撃される可能性もあるため、心配だ。

このような人手の足りない中でも、(ドヴァキン)は勇敢さを見せた。我々には多くを語る理由はなかった。それが本当に残念なことだ。(ドヴァキン)の運命に多大な希望を寄せている。夢に出てきた(ドヴァキン)の姿は、確かに彼女を私の後を継ぐ導き手として示すことが分かったように。



これまでの人生でほとんど夢を見たことはなかったが、夢を見た時にそれらを信じることを学んだ。また自分の本能を信じることも学んだ。本能は、特にスコールの死もあったことから(ドヴァキン)がジョルバスクルに住むものと同じくらい誠実に同胞団からの伝承を伝えることができると言っている。アエラは孤独すぎるし、ヴィルカスは激情的すぎるし、ファルカスは情にもろすぎる。唯一(ドヴァキン)だけが情熱的でありながらも冷静さを保てる真の戦士である。

しかし、彼女に何も話す気はない。他の者に負わせるには荷が重すぎる。私の望みはこれから数年に渡って助言を与え、導き手の知識を授ける事だ。すべては時を見計らって。まずはグレンモリル魔女の問題で(ドヴァキン)に助力を求める。最初に我々を呪った奇術師への詩的正義なくしては解決できないだろう。