~第四紀200年 黄昏の月28日

今日質屋で、陳列棚に興味深い短編集が置かれているのを見つけた。失敬したところで持ち主も困りはしないだろう。もっと港の周辺で過ごすべきだとつくづく思う。このアルトマーたちは血の気が薄過ぎて好みに合わない。

それはさておき、その本に収録されていた短編のひとつが、吸血鬼の力の源として伝統に名高い“レンガイア祭の血の泉”に関する話だったのだ。その物語の翻訳はこれまでにも何種類か読んだことがあるが、今回の版では、スカイリムにある第二紀に起こった地震で埋もれた遺跡の中に、その泉が存在する可能性があると示唆されていた。

ここでのアモルメイア審問官との取引は終わったようなものだ。価値ある気晴らしのために、ここらで20~30年サマーセットを離れるのもいいかも知れない。ひょっとしたら、この伝説の血の泉を調査することになるかも知れないぞ。

船でアリノールからソリチュードに渡ることができた。ノルドの反乱が続く中、なかなかの快挙だったと胸を張って言える。こちらの酒場で偶然同族に出くわした。当初は問題の種になるのではないかと気をもんだが、彼女が街の有力者で、礼儀を守ってさえいれば喜んで力を貸してくれることが分かった。血の泉の調査に関して多くのことを話した。彼女は“そんなものを追い求めるのは馬鹿のやること”とクギを刺しながらも、耳にした話によればリフトにあるだろうと教えてくれた。

~第四紀201年 蒔種の月5日

何ヶ月もの探索を経て、ついに手掛かりらしきものを得たかも知れない。宿屋「ヴァイルマイヤー」で、軽い夕食になりそうな獲物を探している時に、ヨークルという名の老いた隠者が、地面から泡を吹いて湧き出す不思議な赤い水を見つけたと話しているのが聞こえてきたのだ。

この兵士を片付けたら後を追ってみよう。もしかしたら場所が分かるかも知れない。

~第四紀201年 蒔種の月13日

もっと早く気づかなかったことが信じられない。

ヨークルはこの1週間ずっと、家からバケツで石ころや土を運び出していた。彼が家の地下を掘っていると気がついた時点で、既に血の泉を発見したかどうか確認するため、中に忍び込んでみた。彼は、血の泉が長い年月の間に染み込んでできたと思しき洞窟群を掘り当てていた。私の目でも辺りがよく見えないほどの暗さだったが、地面にたまった水は間違いなく赤い色をしていた。

不運なことに、彼は私が地下を探検している間に目を覚まし、私に殺された時に自分のたいまつを毛皮の上に落としてしまった。またもや後戻りだ。

~第四紀201年 恵雨の月4日

最初に見つけた細かい水路は、あまりにもたくさんの岩や土を貫いて流れていた。私は地元民を何人か“仲間”にし、彼らと共にどうにか血の泉の源泉を探し当てた。私たちは人目をひかないよう気を配った。おかげでこれまでのところ、どうにか彼らが猟師やその他のクズども以外の相手を襲わないようにできている。だがここに留まるなら、あまり人目をひかずに手軽に利用できる食糧を確保しておかねばならないだろう。

血の泉は期待した程のものではなかった。確かに血であり、偉大な力を与えてくれるが、まったく栄養にならない。力も短時間しか持たず、心身を弱らせるという副作用がある。他の連中が血へ依存するのを防ぐためには、部屋の扉を閉ざすしかなかった。定命の者にも与えてみたが、彼らにとってはもっと酷い代物だ。病と依存症をもたらすだけで、なんの恩恵もないのだから。

依存症か。

私たちの食糧問題を解決する方法を見つけたかも知れない。