恋人の心は感覚のない石
視界の下の氷に隠れてる。
「そこではない」と誰かが言い
「でもそこかも」と誰かがささやく。

石は熱い灰から生まれるが、
1度形をなせば熱の気配はない。
彼女の心が愛を裏切ることもなく、
それを抱く者を癒すこともない。

山が高くなり空を恋しく思えば、
登山家が征服しようとして登る。
のみと縄、斧とつるはしを持って
彼らは岩を屈服させる。

山脈の中で堂々とそびえる頂きは、
誰も登れない負け知らず。
その坂を押し流そうとする人間の、
その目から生まれた流れが斜めに走る。

がむしゃらな突撃で穿つことはできない
離れて横たわる守られた深み。
だが気長な水は優しく形を作り
秘かに心へ繋がる。

私の愛は探求する水、
太陽の周期とともに割れる氷。
擦り、憧れ、囁かれた願いは
私が駆け込むまで時間を稼ぐ。

私が岩の中に残したのは、
頑丈な石から掘りだした街。
その巣の中へゆっくり入ろう、
故郷となる魂を暖めよう。