ガルス・デシデニウスの日記
メルセル・フレイに逃げられている。私が追跡していることを知り、無用な危険を冒さないようにしているのだろう。彼を欺くためにすべての技を使っている。ごまかしが必要なのは未だに苦痛だ。私がナイチンゲールになった時、新たな才能を仲間に使うなんて思いもしなかった。
今日は間一髪だった。貯水池で眠ろうと身を落ち着けていた時、メルセル・フレイが予想外に入ってきた。壁沿いをゆっくり進んでいたが、私はすぐに見つけた。彼は少しずつ金庫室の扉に近づき、部屋の端を慎重に前進していたが、突然止まって私が隠れている場所へ振り向いた。瞬時に動きと息を止めたが、位置は既に把握されていた。彼は不意にフラゴンの方を向き、そちらへ戻って行った。
何をしていたんだ。
ついにメルセル・フレイの行動を説明する証拠の1つを手に入れた。尾行や彼の邸宅に侵入するのではなく、自由に使える口の軽い情報屋を使い、答えを求めてラットウェイを探し回らせた。数週間を要したが、モールが興味深いちょっとした情報をくれた。メルセルは異常な量の金をギルドに関係ないことへ使っていたらしい。どこにそんな金銭的余裕があったのかは謎だ。金庫が難攻不落であるなら、彼の資金源はなんだ?
情報筋によってそれが確認された。メルセルには、個人的な楽しみに使う多額の金があり、以上にぜいたくな生活をしていた。彼と対決するにはもっと証拠が必要だ。ギルドから盗んでいるに違いないが、証拠がなければ根拠のない言いがかりに過ぎない。メルセルは裕福な家系の出身だが、消費している金額は途方もない。
真剣に考えた。メルセルが莫大な金を入手する方法は1つしかない。それが可能であるとは信じがたい。どうすれば黄昏の墓所の神聖を汚せるだろうか?これは単なる強欲や普通の泥棒の枠をはるかに超えている。彼の行動は数百年起こらなかったナイチンゲールの破綻を意味している。何故だ?何故彼は信じるものを簡単に捨てるんだ?証拠が必要だ。
メルセル・フレイに頼まれ、今日雪帷の聖域で会う。配達人を使ってメモを送ってきたため、彼は既にいるのだろうと推測できる。すべての感覚が罠だと告げているが、他に選択肢はない。伝達内容にはこの会合がギルドに関する最大の緊急事態だと述べられていた。行く義務がある。誰かを連れて行く危険は冒せなかったが、ほぼ間違いなくカーリアは従わずについてくるだろう。