マルク神聖僧団記 第4巻

神殿の浄化




[編者注: 本文書はアレッシア教団第一紀の分派である同僧団の記録のうち、唯一現存が確認されている一片である。カヌラス湖にある同僧団の大修道院群が正道戦争(第一紀2321年)の際に破壊され、保管文書が喪失ないし分散してしまうまで、そこに保管されていたようである。

なお、この時代のアレッシア一派の書記官はアレッシアの神化(第一紀266年)を元に日付を算出していた点に留意されたい。]




 以下に、アレッシアの祝福127年目の出来事を記す。

 この年は全土において昼の光が暗くなり、太陽が大月神三日程度の暖かさにとどまり、日中でありながらその周囲に星々が見えることがあった。これは蒔種の月の5日のことであった。これを目にした者は誰もが不安を覚え、近々大いなる出来事が訪れるであろうと口々に語った。いかにも、同年中に太古のエルフの神殿であるマラーダより、ベルハルザ王の御世以来となる規模の魔族の大群が湧き出たのであった。これら魔族の汚濁により大地は冒され、耕すことも刈り取ることも種を蒔くことすらままならず、人々は救いを求め、マルク神聖僧団にすがった。これを受けてコスマス修道院長が修道僧全員を集結させ、エルフの言葉で「大いなる神殿」としても知られるマラーダへと向かい、聖なる炎をもってそれを攻め、汚らわしい魔族たちは滅ぼされ、神殿内で発見された多数の邪悪なる遺物や書物が燃やされたのであった。そしてその地では何年もの間、平和が続くこととなった。