この神殿で修行する者は以下を読むこと:

 聖蚕会は古代から続く高貴な教団である。我々が育み賛美するのは、聖蚕の形をとって現れる、敬愛する祖先の魂である。それぞれの蚕は祖先の魂のフィロンを持っている。フィロンとは、大雑把に訳せば「平和を求める心」となり、それは歌われることで聖蚕が作る繭の中に込められるのである。その繭から絹糸を紡ぎ、布を織り、正しい祖先へと導く系譜を刺しゅうすれば、素晴らしい力を持った服ができあがる。

 教団の道士は予知の能力を持つ。この祖先の知恵は、未来を現在に歌い表すことができるのである。そのため、我々の教団はエルダースクロールの理解という恩恵にあずかることができるが、それは我々の教団のみに許された特権なのである。これらの預言書はデイドラ、エイドラ両方の神々をも超越している。この現実を織りなす繊維の隙間を覗き込むことは代償を伴う。エルダースクロールは、読み進めるにつれて難解さを増すという性質を持っている。読んだ代償として視力を失う期間もまた、読むほどに長くなるのである。そして、最期まで読み進めば予言の内容の真髄までをほぼ知ることができるが、その者は永遠に視力を失いこの世の光に別れを告げねばならない。そうなっては予言を読むこともかなわない。

 修道院は、我々の教団のそういった高位の者たちが住み、他の者たちが彼らの仕える場所である。彼らは世俗を離れ、敬愛する聖蚕たちと共に生きている。彼らのいる地下は聖蚕たちにとって住みやすい場所なのである。彼らはか弱い蚕たちを育み、歌いかける。また、絹糸をとり、紡ぎ、布を織り、繭を作った祖先の系譜と歴史を刺しゅうする。これが、彼らの新しい生活である。

 彼らが聖蚕の世話をしているあいだ、我々が彼ら盲目の修道士たちの世話をする。彼らが闇の中で働くあいだ、我々は光のもとで働くのである。彼らの求める食べ物と水を提供する。彼らの求める道具や家具を提供する。彼らの求める秘密と匿名性を提供する。そして、彼らの労働の成果を売りにゆく者を提供する。

 また、同時に護衛も提供している。何世代も前に、ガドランが我々の神殿を訪れた。予言を読んで盲目になったばかりの彼女は、我々に教えをもたらした。祖先は修道士たちが自らを守る必要を予見したのである。修道士たちは今でもガドランの教えどおり鍛錬を怠らない。彼らは剣ではない剣、斧ではない斧の達人である。

 修行者として、あなたはガドランの教えを学ぶであろう。拳を平和的に使う方法も学ぶことになる。盲目の修道士たちに仕えることも学ぶ。提供することを学ぶ。そしてやがて、聖蚕の平和と英知を身に付けるであろう。