デイドラは強大な霊的先人であり、トリビュナル(その聖なる御名に祝福あれ)と同様の外見および性質をもつものの、力はそこまで強くはなく、より気まぐれで、定命の者たちへの関与も少なめである。古き時代にはチャイマーらがデイドラを神々として崇めていたが、デイドラは信者たちを助けるのと同等の頻度で害するため、そのような崇拝に値する存在であったとは言えない。
そのような不幸な状況も、トリビュナル(その聖なる御名に祝福あれ)の登場により一変した。トリビュナル(その聖なる御名に祝福あれ)は神格化によりダンマーの守護者、かつ霊的先人となり、デイドラに相応の敬意と服従を見せるように命じたのだった。善のデイドラであるボエシア、アズラ、メファーラはトリビュナル(その聖なる御名に祝福あれ)の神性を認めた。一方で、反旗を翻したデイドラ、すなわちモラグ・バル、マラキャス、シェオゴラス、メエルーンズ・デイゴンはトリビュナル(その聖なる御名に祝福あれ)に忠義を誓うことを拒否したため、その崇拝者たちは追放された。
反旗を翻したデイドラはこうして災いの徒党の四柱となり、我々の平穏をむしばみ、不用心な者たちを異端や暗き信仰へと誘い続けている。聖堂の司祭たちは仇敵の再訪を継げる前兆を常に監視しており、時には反逆せる同族の策略に通じた、忠実なる三人のデイドラの助力を得ることもある。
善のデイドラらはトリビュナルを寵愛する先人であるため、教会では守護者と呼ばれている。守護者とはデイドラの主であるボエシア、メファーラ、アズラのことである。
ボエシアはアルマレクシアの守護者であるが、アルマレクシアが女性であるのに対し男性である。ボエシアは神話の時代以前のはるか昔にエルフへ光を与えた先人である。彼らにロルカーンの試練の真実を話し、アールエルの勇者であるトリニマックを倒した。ボエシアはトリニマックを食い、無に返した。ボエシアとトリニマックの信者たちはトリニマックの土を自らの体にこすりつけ、肌の色を変えたという。
メファーラはヴィベクの守護者であるが、多数の姿をもち、両性具有である。メファーラはチャイマーに敵から逃れ、暗殺により殺す術を教えた。当時のチャイマーは数が少なく、四方を敵に囲まれ、多数の脅威にさらされていた。メファーラはやがて大家となる部族のシステムを生み出した。メファーラはまた、後にモラグ・トングを生み出すことになる。
アズラはソーサ・シルの守護者であるが、ソーサ・シルが男性であるのに対し女性である。アズラはチャイマーらに、自分たちがアルトマーとは別の存在たりえることを教えた先人である。その教えは時にボエシア由来とされることもある。伝説ではアズラは1人の先祖というよりも、一族共通の開祖として登場することが多い。夕暮れと夜明けにつながりがあり、母なる魂と称されることもある。時に宵の明星とも呼ばれるアズラの星は、夕暮れ時と夜明けに駿馬座の下、地平線沿いの低い位置にわずかな時間だけ現われる。アズラは謎と魔術、運命と予言に繋がりがある。